主題1(公募・一部指定)
ディスペプシアと消化管細菌叢
Dyspepsia and gut microbiota
司会:鎌田 智有(川崎医科大学 健康管理学)
鈴木 秀和(東海大学医学部 内科学系消化器内科学)
機能性ディスペプシア(FD)は機能性消化管障害のうち、機能性胃十二指腸障害の一つとされ、その病態は消化管運動異常、内臓知覚過敏、心理社会的ストレス、食事因子、消化管微小炎症などに加えて、消化管細菌叢の異常(dysbiosis)が新たな原因として注目されている。
近年、次世代シーケンサーによる腸内細菌叢の解析はディスペプシアの病態解明にも大きな転換をもたらしつつある。すなわち、腸内環境の変化により消化管粘膜には微小循環障害や炎症が生じ、その結果、消化管壁の透過性が亢進することが指摘されている。また、消化管バリア機構を評価するうえで、主に粘液層に存在する消化管粘膜関連細菌叢とその代謝産物の解析も重要視されている。しかし、消化管細菌叢の異常とディスペプシアとの関連についての全貌は未だ明らかではない。
本シンポジウムでは、FDに起因する消化管細菌叢の異常をもたらす因子とは何か、消化管細菌叢の異常が臨床症状に如何に関与しているのか、さらに消化管細菌叢を標的した治療戦略についても議論したい。消化管細菌叢のFDへの関与について現在までに明らかになった様々な知見を総合的に論じ、これからのFD診療に新たな一石を投じる興味深い斬新な演題の応募を期待したい。