主題2(公募・一部指定)
背景粘膜に応じた胃炎・胃癌内視鏡診断の進歩
Progress in endoscopic diagnosis of gastritis and gastric cancer according to the background mucosa

司会:貝瀬  満(日本医科大学 消化器内科学)
   藤城 光弘(東京大学大学院医学系研究科 消化器内科学)

H. pylori 感染者の減少、除菌療法の普及により、多様化する背景粘膜に発生する胃癌を診断する時代を迎えている。胃炎の内視鏡診断では、内視鏡所見と局在性からH. pylori 未感染、現感染、除菌後、さらには自己免疫性胃炎などのH. pylori 以外の原因で生じる胃炎を判定するとともに、萎縮、腸上皮化生、皺襞腫大などにより胃癌リスク層別化を行う、京都分類が提唱されている。胃癌の内視鏡診断では、光デジタル法拡大内視鏡による癌、非癌の鑑別アルゴリズムMESDA-Gが提唱され、組織型の推定もある程度可能なことが示されている。さらに顕微内視鏡により癌細胞を生体内で直接観察することも可能である。生検病理診断がゴールドスタンダードだが、面で診断できる内視鏡は、点で診断する生検病理を凌駕する可能性を秘めている。本主題では、背景粘膜(H. pylori 現感染、既感染/除菌後、未感染、自己免疫性胃炎など)に応じた胃炎・胃癌診断について、画像強調観察法、拡大・超拡大内視鏡観察法などの発展により、病理に迫る、より正確な診断がどこまで可能となったのか、その到達点を整理するとともに今後の展望について議論したい。多くの興味深い演題を期待している。