主題8(公募・一部指定)
H. pylori 感染の減少がもたらすメリット・デメリット
Advantages and disadvantages of declining H. pylori infection

司会:飯島 克則(秋田大学大学院医学系研究科 消化器内科学・神経内科学講座)
   永原 章仁(順天堂大学医学部 消化器内科学講座)

本邦におけるH. pylori 感染率は大きく減少しつつあるが、それに伴って、日本人の上部消化管疾患構成も変化しつつある。さらに、本邦では除菌治療が広く普及しており、この流れを加速している。H. pylori 感染率減少のメリットとして消化性潰瘍はすでに大きく減少し、胃がんの減少も始まっている。その一方で、本邦での感染率減少のデメリットとして逆流性食道炎の増加が指摘されている。一方、除菌治療薬がもたらす多彩な有害事象も完全には解明されていない。もちろん、疾患の予防のための除菌と治療のための除菌は意義が異なりメリット・デメリットを切り分けて考慮する必要がある。さらには若年者、高齢者の除菌治療・除菌後についても議論が必要である。そのほか、H. pylori 感染は全身の種々の病気の発生率を修飾することが示されている。こうした状況で、感染率の減少による(または除菌による)総死亡への影響に関しては、まだ結論がでていない。

本セッションでは、これまでの研究成果を検証するとともに新たな研究成果を募集し、本邦においてH. pylori 感染の減少(または、除菌)がもたらすメリット・デメリットに関して議論する場としたい。