ご挨拶

第28回日本ヘリコバクター学会学術集会の開催に当たって
(併催;第18回韓日H. pyloriジョイントシンポジウム)

第28回日本ヘリコバクター学会学術集会
会長 三輪 洋人
(兵庫医科大学 名誉教授/川西市立総合医療センター 総長)

この度、伝統のある日本ヘリコバクター学会の第28回学術集会の会長を拝命いたしました兵庫医科大学の三輪でございます。大変光栄に感じるとともに、責任感に身の引き締まる思いを感じております。

本学会は1998年にその前身である1995年設立の日本ヘリコバクター研究会学会から移行する形で設立されています。私は1995年に米国ミシガン大学への留学から帰国し、本格的に基礎・臨床研究を始めましたが、私の入会は1997年ですので私の研究歴はくしくもこのヘリコバクター学会と歩みをともにしています。

近年の医学の進歩はすさまじく、様々な分野でブレークスルーが起こっていますが、上部消化管領域のブレークスルーは間違いなくこのヘリコバクター・ピロリの発見でした。これまで原因不明であった慢性胃炎や消化性潰瘍、胃がんなど胃疾患の多くがこのヘリコバクター・ピロリという細菌によってもたらされていることが解明され、近年はこの細菌を軸に我が国の胃疾患研究・診療が進んできました。ピロリ菌によって引き起こされる疾患とその発症メカニズム、診断法や除菌法の研究など多くの精力的な基礎的、臨床的研究がこの学会を中心に行われてきました。しかし、ご存じのようにヘリコバクター・ピロリ感染率は急速に減少し、これからのこの領域の関心はポスト・ピロリにシフトしていくことになると考えられています。私は、このピロリ発見と征服の最前線で活動してきた経験と研究マインドを次の本学会の次の世代に伝えたいと思います。また一方では、現在でも我が国には未だ多くのピロリ感染者が存在し、アジアを始め世界の多くの国々でもまだまだピロリ感染率は克服されていないのが実情です。これまでを見つめなおし、これからに備える。今回の学会のテーマには「ピロリ研究のこれまでとこれから」を挙げさせていただきました。本学会がピロリ診療と研究を見つめなおし、今後を語る機会になればいいなと考えております。

長く続いたコロナ禍にようやく一筋の光がみえてきた今日この頃です。コロナの状況は予測できないものの2022年6月の学会は基本的に現地開催を考えております(もちろん状況次第で柔軟に対応させていただきます)。実際に会って膝を交えて「ピロリ研究のこれまでとこれから」を熱く語り合う機会になればと思っています。本学会が開催されるホテルは甲子園球場のすぐ近くですし、また西宮はお酒のおいしいところとしても有名です。西宮で開催される本学会への多くの先生方の参加をお待ちしております。